症例A

2004年11月2日 読書
ランダムで他のDN利用者のレビューを読んで興味を持ち図書館で借りてきた。

最初はページ数の多さに圧倒され最初のページを開くまでに数日を要したが読み始めると止まらなくなり数日掛けて読むつもりが1日で読みきってしまった。
500ページを超える本なのだが読み進むにつれ残りのページ数の少なさに不安を覚えるくらいハマってしまった。

物語は以前勤めていた病院で患者を自殺させてしまった精神科医の榊が新しい勤務先であるS精神病院で亜左美(仮名)と呼ばれる17歳の少女と面談(診察)するところから始まり亜左美の診断方法で対立する女性臨床心理士の広瀬とのやり取りで知る事となる広瀬の秘密、その秘密が亜左美の病を解明する手掛かりとなる精神病院編と首都国立博物館で学芸部員をしている江馬遥子とその博物館の金工室長の岸田が博物館に収蔵されている重要文化財の中に贋作が含まれている可能性を知りその事実解明に動く博物館編を交互に織り交ぜて進んでいく。
一見なんの関わりも無い話がやがてある人物を介して交錯していく。

この作品はとても面白いが読み終わった後にカタルシスを得る事は出来ないだろうと思う、全ての謎が解き明かされた訳でもないし亜左美の治療は始まったばかり、そして榊は広瀬の師匠である岐戸医師から託された遺志を継ぐ決心をしたところで終わってしまう、途轍もなく困難で長い道のり進む事を選んだ榊の物語には興味が尽きない、続編を望む。

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